男と女の「おかしな!?」ハナシ
あなたの身の回りにも時々起こる、
「これってどうなの?」
「おかしくない?」という話。
このコーナーでは、毎回、
「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。
「鍵っ子」って?
今回のつぶやき主は、ヨウコさん
PTAの仕事で集まって作業中に
子どもの鍵のことが話題になりました。
マユミ:あ、しまった。子どもに鍵を持たせるの忘れてたわ。
午後からの作業を早く仕上げて、ダッシュで帰らなきゃ。
ナオ :私もこの前、鍵を渡すのを忘れててね。
それからは、ランドセルに付けっぱなしにするようにしてるの。
ランドセルに鍵を付ける便利グッズが、100均のお店にけっこう揃っていて便利よ。
ヨウコ:うちは小1の時から持たせているわよ。私も夫も仕事をしているから。
ナオ :私もね、これまでは午前のパートが主だったけど、
ぽつぽつフルタイムに変えてもらおうかと思っていて。
子どもは私がいなくても平気だし、っていうか、
私がいると「え~~、いるの?」って言うくらい(笑)、ちょっと成長したしね。
鍵を持たすのも、自立の一歩かな。
マユミ:鍵って言えば、私たちが子どもの頃って「鍵っ子」っていう言葉があったよね。
ヨウコ:あったあった。
どちらかと言えば
「一人で留守番する子は、愛情の足りないかわいそうな子」
みたいなニュアンスだったかしら。
ナオ :そんなことないのにね~。
私はうらやましいっていうか、ちょっとかっこいいなって思ってた。
大人が勝手に「かわいそう」って、決めつけていただけだったような気がするな。
マユミ:え~、私は帰った時にお母さんがいないと、ちょっと嫌だったなぁ。
毎日お母さんがいるのが当たり前だったし。
ヨウコ:そっかぁ、うちは共働きで、学校から帰ると1人だったんだけど、
自分のペースで気軽にすごせてよかったよ。
ナオ :ふ~~ん、うちの子はどう感じてるのかな。
帰ったら聞いてみようかなぁ。
◆マユミのつぶやき・・・
子どもに鍵を持たせるってちょっと抵抗があったけど、
近所のオートロックのマンションの子たちは、
親が家にいてもたいてい鍵を持っているみたいだし。
珍しいことじゃないのかな。
◆ナオのつぶやき・・・
子どもに「鍵っ子」って言葉を使ったら、きょとんとしちゃった。
そういえば今は使わないものね。
◆ヨウコのつぶやき・・・
最近、国がどんどん共働きを勧めだしたけど、
「共働きでないとおかしい」という風になるのもいやだな。
その人によって何がいいかは違うだろうから、
いろいろな生き方が尊重されるようになるといいな。
【ミニ知識】
国がすすめる労働事情~昭和と平成の違い~
「鍵っ子」は、1960年前後の流行語で、「両親が勤めなどで留守のため、いつも家の鍵を持たされている子ども(大辞林)」のことを言った。
「お父さんはお勤めに。お母さんは家事育児」という慣習が広まったのは、農家の二男三男がどんどん街に出てきて、「サラリーマン」という職種に就くようになった時代のおはなし。
高度経済成長時代、男性を早朝から深夜まで休みなしに限界まで働くモーレツ会社員として使うためには、女性を家事育児に専念させる必要があった。
夫婦にとっても「郊外に戸建を買って住む」という夢をかなえるため、通勤時間が長くなり、夫婦分業が加速されたとも言われている。
昭和に高度経済成長のため男女分業を促進してきた国は、平成の今、労働人口確保と税収入を増やすために、共働きを推奨している。
横からちょっと言わせて
専業主婦もパートも経験した
関西学院大学社会福祉学科教授
今井小の実さん
うーん、「鍵っ子」って切り方がむつかしいなぁ・・・迷っていた時に飛び込んできたのが、日本テレビ系ドラマ『Woman』の高視聴率を告げるニュースでした。
このドラマは二人の幼い子どもと遺されたシングルマザーの姿を描いたものだと聞いており、関心は持っていたので、前回の放送時にちょっとだけ・・・とチャンネルを回したら、そのままドラマの世界に引きずり込まれてしまいました。
監督、脚本、出演者の上手さがひかる素晴らしい作品だと感じましたので、母子世帯のドラマという理由だけの支持ではないようです。
母子世帯を含むひとり親家庭は、着実に増えています。
2012年の統計によると「ひとり親と未婚の子のみの世帯」が全世帯に占める割合は 6.9 %(国民生活基礎調査)、1989年の5.0%と比べても、ここ10数年で着実にその数は増えています。
ひとり親家庭の親はもちろん、生活のために働かざるを得ないわけですから、「鍵っ子」の話は共稼ぎ家庭だけの話にとどまらないですね。
現在、共稼ぎ世帯の数は、妻が専業主婦という世帯の数を上回っています。
今や「鍵っ子」は一般的なのだと認識した上で、社会全体が子どもたちの安全と健やかな成長のための方策を考えていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく)
イラスト : 林やよいさん