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男と女の「おかしな!?」ハナシ

介護で嫁の退職は当然?

あなたの身の回りにも時々起こる、
「これってどうなの?」
「おかしくない?」という話。
このコーナーでは、毎回、
「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。

介護で嫁の退職は当然?

今回のつぶやき主は、ショウコさん。
電話で友人チナツさんの相談にのっています。
ショウコ:もしもしチナツ、久しぶりね。
     仕事も順調で、活躍しているって聞いたわよ。

チナツ:まあね。
    でも群馬の義母が、介護が必要になってね、
    急なことで、義父がオロオロしちゃって。
    東京に次男が住んでいるんだけど、
    「長男のシゲタカ夫婦に、面倒を看て欲しい」って言ってるのよ。

ショウコ:大変じゃない。
     面倒を看てっていうのは、仕事を辞めて帰って来て欲しいっていうこと?
     夫さんは、まだ現役で仕事をされてるわよね。
     チナツも、先月部長になったばかりじゃない。
チナツ:そうなんだけど……。
    ショウコは夫さんのご両親と同居で、偉かったわね。

ショウコ:私は専業主婦で、ずっと同居してたから、
     夫の親を看るのは自然の成り行きだったけどね。
     チナツは、ここまでキャリアを積んできたんだから、
     今辞めるなんてもったいないわよ。
     それに、一人っ子だから、やがては実家のご両親も、看ないといけないでしょ。

チナツ:母は「私たちはまだ元気だから大丈夫。
  アンタは今まで好きな仕事をして、
  シゲタカさんに迷惑をかけたんだから、行って介護しなさい!」って言うのよ。

ショウコ:ちょっと何よ、仕事を続けてきたことが迷惑って!
     その考え方は、おかしいわ。
     急なことで義父さんも大変だけど、
     地域のいろんなサービスに相談してみると良いんじゃない?
     男性の介護者も増えているし、男性介護の会っていうもあるって聞くわよ。

チナツ:やっぱり、実際に介護を体験した人のアドバイスは頼りになるわ~。
    また色々とわからないこと教えてね!
◆チナツの母・キクエのつぶやき・・・
もうチナツったら、群馬で介護をするのは当然じゃない。
こっちで仕事を続けるなんて、あちらのお母様に本当に申し訳ないわ。

◆ショウコのつぶやき・・・
仕事をしてきたことが迷惑とか、仕事を辞めて義母を介護するのは嫁として当然とか、あれじゃあチナツがかわいそうよ。
色んなサービスを利用して、なんとか皆で協力する方向で、頑張ってほしいなぁ。

◆チナツのつぶやき・・・
ショウコのアドバイスは、本当にありがたいわ。
私の母は、向こうの親戚に対して私の立場を考えて言ってくれてると思うんだけど・・・。
いろんな方法を考えて、もう一度夫と話し合ってみよう。

◆チナツの夫・シゲタカ・・・
あんなに元気にしていた母さんが急に倒れて驚いたよ。
いずれは群馬に帰ろうとは思っていたけれど、今すぐは無理だな。
チナツも、ようやく責任ある仕事を任せられた矢先だし、
今、仕事を手放すのは難しいだろうな・・・。
親父と弟と相談して、地域の支援に頼ってみるか。
それに親父なら、食事ぐらいは作れるようになってくれるよ、きっと。
【ミニ知識】   
介護者の30%は男性。介護理由の離職者数が増加。
 
 「平成24年版 高齢社会白書」によると、主な介護者の6割以上が「同居している人」となっていて、その主な内訳は、配偶者が25.7%、子が20.9%、子の配偶者が15.2%であり、男性が30.6%、女性が69.4%となっている。
また、家族の介護や看護を理由とした離職・転職者数は2006年10月から2007年9月の1年間で144,800人を数え(前年から40,500人増加)、女性の離職・転職数が、全体の82.3%を占めている。

介護する側もされる側も、誰もが安心して暮らせる社会を目指して活動している「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」の事務局長・津止正敏立命館大学教授の講演会が伊丹市で開催。
【男性介護の講演会-介護退職ゼロ作戦-】参加無料
  日時:2014年2月7日(金)13:30~
  場所:伊丹市立いきいきプラザ3階
  講師:立命館大学産業社会学部・津止正敏教授
  主催:男性介護者きたいの会・伊丹市社会福祉協議会、
  後援:伊丹市、NPO法人あなたらしくをサポート
  問合:伊丹市社会福祉協議会(電話072-779-8512)

横からちょっと言わせて

専業主婦もパートも経験した<br>関西学院大学人間福祉学部教授<br>今井小の実さん
専業主婦もパートも経験した
関西学院大学人間福祉学部教授
今井小の実さん
ショウコさんとチナツさんのハナシを聞いて、2000年に離婚した石坂浩二と浅丘ルリ子のケースを思い出しました。
びっくりしたのは、会見で石坂浩二が、「彼女には女優として輝いていてほしいから」母親の介護をさせられないということを、離婚の理由としてあげたことでした。
ふたりの出会いのきっかけとなったTVドラマのファンで、その結婚を心から祝福した私には、この結末がどうしても納得できませんでした。
確かに彼の発言を、女優である妻への愛情と受けとめた男性もいたことでしょう。
また女優という特殊な職業に対する彼の思いやりと考えることもできるかもしれません。
でもよくよく考えてみれば、それは自分の親の介護をするのは妻である女性の役目であり、女優を辞めて介護に専念できない妻は離縁に値するという意味にも受け取れます。
石坂浩二は水戸黄門の役も演じたことがある好感度の高い、今でもドラマや映画で活躍中の国民的人気俳優です。
その彼の発言は、このような価値観が当時、日本社会で広く受け入れられていたことを示しています。
でもそれは、男女共同参画社会基本法が成立した翌年のことでした。
そしてチナツさんの悩みは、介護の社会化をめざした介護保険制度が誕生した現代においても、残念ながら多くの女性がいまだ共有している問題でもあります。
その一方で、男性介護者が増えているという現実があり、その場合、「男は仕事」という性別役割分業の規範がいっそう、介護男性を追い詰めていくことも想像に難くありません。
真の意味での「介護の社会化」がのぞまれます。
原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく)
イラスト : 林やよいさん

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